切削加工関連

切削面が荒れる理由とは?~原因と対策を解説~

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切削加工において、製品表面の仕上がり品質は非常に重要です。美観はもちろんのこと、摩耗や疲労強度、接合性など製品の機能性にも直結します。ところが、思い通りの仕上がりにならず「切削面が荒れる」といった問題が発生することは多くの現場で見られる課題です。

この記事では、「切削面が荒れる原因」と「その具体的な対策」をテーマに、代表的な要因を体系的に解説します。

工具に起因する要因

工具の摩耗

最も多い原因のひとつが工具摩耗です。特に、逃げ面の摩耗すくい面の損傷が進行すると、切れ味が落ち、切削時の抵抗が増すことで表面が粗くなります。

対策:

  • 工具寿命を超える前に交換する
  • コーティング工具を使用して耐摩耗性を向上させる
  • クーラントや切削油を適切に使用する

工具の材質や形状の不適合

加工材に対して工具材質が適していない場合、加工中にビビリや摩耗が早期に起きやすく、仕上げ面に悪影響を与えます。また、チップブレーカの設計が合っていない場合も表面粗さが悪化します。

対策:

  • 加工材質に合わせた工具を選定する
  • 加工目的に適した刃先角度・チップ形状を選ぶ

加工条件に起因する要因

切削速度や送り量の不適切な設定

切削速度(Vc)や送り量(f)が適切でないと、ビビリが発生したり、切削熱の増加により工具が損傷しやすくなります。特に送り量が多すぎると、仕上げ面に段差ができてしまい、粗く見える原因となります。

対策:

  • メーカー推奨の切削条件に基づいて設定を見直す
  • 切削速度を高め、送りを低くすることで仕上げ品質を向上させる

切削深さの変動

切削中に切込み深さが安定しないと、断続的な切削状態になりやすく、これが切削面の荒れに直結します。これは段取りミスやワークのクランプ不良でも起こり得ます。

対策:

  • 切込み深さを一定に保つよう加工プログラムを最適化
  • ワークの固定方法を再検討

工作物(ワーク)に起因する要因

材料硬度のばらつき

同一材質でも鋳物や鍛造材などの場合、内部組織の不均一さから、局所的に硬い部分に工具が当たると表面粗さが悪化することがあります。

対策:

  • 信頼性のある材料メーカーから安定した品質の材料を仕入れる
  • 必要に応じて熱処理や表面処理を行う

ワークのびびり(共振)

加工中にワークが振動してしまうと、その振動が工具にも伝わり、**ビビリマーク(チャターマーク)**という波状の模様が発生し、表面が非常に荒れます。

対策:

  • ワーク保持を強化する(チャック力の見直し、固定具の変更など)
  • 共振周波数を避けるよう回転数を微調整する

機械装置に起因する要因

主軸の振れ・ガタつき

古い機械やメンテナンス不足の設備では、主軸に振れやガタが生じており、それが直接切削品質に影響を与えます。これは表面のムラや波状模様として現れます。

対策:

  • 主軸の芯出し・オーバーホール
  • 定期的な機械精度の測定と修正

スライド部の摩耗

テーブル送りやクロススライドの摩耗やバックラッシにより、切削工具の動きが不安定になると、表面に周期的な波状痕がつく可能性があります。

対策:

  • スライド摺動部のガイドやボールねじの交換
  • バックラッシュ補正機能の活用(NC機)

周辺環境やその他の要因

クーラントの不足または不適切な使用

切削熱のコントロールがうまくいかないと、工具寿命の短縮とともに仕上げ面も荒れます。また、切りくずの排出不良も表面粗さに影響を及ぼします。

対策:

  • クーラント流量・濃度の確認
  • 加圧供給やミスト供給方式の見直し

切りくずの巻き付きや再切削

切りくずが工具やワークに巻きついてしまうと、それを再度削ってしまい、表面に傷や摩擦痕が発生します。

対策:

  • チップブレーカ形状の変更
  • 切削方向の最適化(ダウンカット vs アップカット)
  • エアブローやクーラントで切りくずを除去

まとめ:切削面荒れの要因は多面的に考える

原因カテゴリ主な要因主な対策
工具の問題摩耗、形状不適工具交換、適正工具選定
加工条件切削条件ミス、切込み不安定条件見直し、プログラム修正
ワークの状態振動、硬度ばらつき固定強化、材料選定
機械の状態主軸の振れ、ガイド摩耗定期メンテナンス
その他クーラント不足、切りくず再切削液管理、切削方向見直し

おわりに

切削面の荒れは、工具だけでなく、加工条件、機械状態、材料特性など多くの要因が絡み合って発生します。一つ一つを論理的に検証し、順を追って改善していくことが重要です。品質の安定化は、納期・コスト・顧客満足に直結する重要なテーマです。日々の加工現場において、仕上げ面の異常に気づいたときは、ぜひ今回紹介した視点で原因を探ってみてください。

いかがでしたでしょうか?
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